高野和明/13階段

13階段 13階段
高野 和明 (2001/08)
講談社
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あらすじ
喧嘩で偶然人を殺してしまい、懲役後仮釈放になった青年・純一。
家庭を顧みずに働き、犯罪者の更生を志したものの
挫折した元刑務官・南郷。
二人に持ちかけられた高額の仕事は、
記憶喪失の死刑囚・樹原の冤罪を晴らすことだった。

7年前、強盗殺人事件の現場近くでバイク事故を起こしていた樹原。
状況証拠からは樹原が強盗殺人の犯人だと断定されたが、
樹原は事故前数時間の記憶を失っていた。
そのため自分が犯人なのかも分からず、
裁判で無罪を訴えることもできずに刑が確定。
死刑執行までの時間はあとわずかとなっていた。

南郷と純一は、7年前事件のあった地へ赴く。
偶然にもそこは、同じく7年前に純一が恋人と一緒に家出をして
保護された地でもあった。


以下はネタばれ・感想です。





2人は調査を進めていくうちに、
未だ発見されていなかった事件の凶器を見つける。
しかしその凶器からは、純一の指紋が検出され…

結局犯人は
地元の大手ホテルの経営者→揉みあっているうちに南郷が殺害

仕事の依頼主は
純一が喧嘩の末に殺してしまった佐村の父親。
うその凶器に純一の指紋をつけたのも佐村父。
「純一が強盗殺人の真犯人だった」という構図を作り、
司直の手で死刑を執行してもらうことで
息子を殺しておきながらたった2年の懲役で出所した純一に
復讐することを考えたのだった。



ホテルのオーナーが真犯人と判明したため
樹原の無実が証明され、死刑は直前で回避された。
拘置所の南郷のもとへ、純一からの手紙が届く。

実は2年前に佐村を殺すつもりで準備していた、
結果的に事故のような形で傷害致死ということになったが
殺意はあった、立派な殺人なのに
人を一人殺した自分は後悔していない、と純一はつづる。
7年前、あの地で自分の恋人に暴行した佐村への復讐を
ずっと計画していたと。
「南郷さんの更生の期待に添えなかったことだけが心残りです。
 裁かれることのなかった殺人の罪を背負って生きていきます」
おしまい。



正当防衛とはいえホテルオーナーを殺してしまい
もともと不仲だった妻とはもちろん離婚に。
(逆にこれで離婚しなかったらうそっぽいですが、
 「仕事を成功させて高額の報酬をもらったら
  妻と一緒に実家のパン屋を継ぐ」と語るシーンがあるので
 ますます悲しい)
更生してほしいため仕事にも誘い、目をかけていた純一には裏切られ
南郷のことを考えるとやりきれないです…


南郷は刑務官時代に
死刑執行の仕事もしたことがあって
そのときの体験を純一に語って聞かせるのですが、
その描写がすごく生々しいです。
前日に何度もリハーサルすることや、
執行前に好きなものを食べさせてもらえることなどの物理面もそうですし、
当たり前ですが執行する側の葛藤もとても重かったです。


それ以外に特に印象に残ったのが、
佐村父に対する処分。
佐村父が純一に対してした行為(純一の指紋を採取し、証拠を捏造)は
殺人未遂にあたるのかどうかの議論です。
純一が真犯人と確定されれば、死刑執行は免れないので
間接的な殺人未遂になる…のですが、それを認めると
絞首刑そのものが殺人に該当することになるということで
捏造証拠の件に対しては誣告罪が適用されていました。


他にも、純一の裁判中は「純一くんほどのいい子はいません」と
情状酌量を訴えてくれた近所のおばさんが
純一が仮釈放になって出所してきて、町で顔を合わせたとたんに
怯えて逃げたりとか…
加害者、被害者、その両方の家族、友人知人、検事、弁護士、裁判官、
刑務官、死刑執行までに関わる役職の人、死刑執行する人、その家族…
関わってくるさまざまな人の状況や心理もしっかり描かれているので
そういうところもとても興味深く読めました。

死刑の是非はともかくとして、
私は今まで表面上のことしかみていなかったんだなあと
すごく考えさせられる内容です。

小難しい話ばかりではなく、
エンタテインメント性もある本なので充分楽しめます。
この作者はやっぱり文章が上手いので
引き込まれて一気に読めました。
[ 2007/09/21 01:48 ] 小説 | TB(0) | CM(0)
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